ネイリストは早死すると聞いて、ネイリストを目指すことに不安を感じていませんか?
実際、ネイリストは常に化学物質に晒されているうえ、長時間労働や業界競争の激化などで健康リスクは伴います。
とはいえ、ネイリストだから特に早死しやすいという統計はないので安心してください。
本記事では、ネイリストの早死の原因やリスク、そしてその対策についても解説します。
さらに、ネイリストの離職率の高さや職場環境の改善方法などについても触れるので、ぜひ参考にしてください。
目次
ネイリストは早死するという統計はない
ネイリストが他の職種と比べて早死するという統計データは存在しません。
たしかにネイリストの仕事には特有の健康リスクが伴いますが、それが直接的に早死に結びつくという証拠はないです。
どの職種にも特有のリスクはあるので、それを理解して原因を知り、適切な対策を講じることが大切です。
ネイリストが早死するといわれる原因
ネイリストが早死するといわれている原因としては、以下が考えられます。
ネイリスト特有の仕事内容や業界による原因がいくつかあります。
日常的に化学物質やダストに晒されているため
ネイリストは、日常的にネイルアートに使用されるアクリルやジェルなどの化学物質や爪を削って出るダストに晒されています。
実際にトロント大学の研究者グループは、ネイルサロンの労働者が浴びている化学物質は一般的な家庭の30倍、電気・電子機器廃棄物の施設で働く従業員の10倍だと発表しました。
化学物質に直接触れると、皮膚炎やアレルギー反応などが起きてしまう可能性があります。
また、ダストを多く吸い込んでしまうと、呼吸器系に健康被害を引き起こすリスクがあります。
特に小さな部屋で長時間爪の近くにいるネイリストは、ダストの吸入による呼吸器系の問題が起こるリスクが高いといえるでしょう。
化学物質やダストに晒されている影響で、ネイリストは早死しやすいといわれています。
不規則な労働時間と過労が起こりやすいため
ネイリストの仕事は不規則な労働時間になったり、労働時間が長時間にわたって過労になったりすることが多い傾向にあります。
これにより、睡眠不足や生活習慣病などのリスクが増加し、長期的な健康に悪影響を及ぼすと考えられるのです。
また、ネイリストは、一日に多くのお客様の接客をしながら施術を集中して行うため、精神的なストレスも引き起こす可能性があります。
さらに、長時間同じ姿勢で作業を続けることで、腰痛や肩こり、筋骨格系の問題が発生しやすくなります。
よって、体力的にも精神的にも辛い状態になると思われて、ネイリストは早死すると考えられているのかもしれません。
業界の競争が激化しているため
美容業界全般に言えることですが、ネイリストの世界も競争が激しく、プレッシャーが大きい職業です。
業界の競争の激化により、価格の低価格化とより高い技術力が求められ、ネイリストの負担が大きくなっています。
例えば、サロンの売上や施術人数の目標が高くなり、上司からその目標を達成するように何度も強く伝えられるかもしれません。
その変化についていけず過度なプレッシャーがかかり、うつ病や不安障害などのリスクを高めます。
結果、ネイリストが早死しやすいといわれるようになったのでしょう。
離職率が高いため
ネイリストは離職率が他の職種より高いため、ブラックな職業と思われてしまい、それが飛躍して早死しやすいといわれるようになったとも考えられます。
実際にネイリストの離職率は高いといわれており、新卒で入ったネイリストは1年以内に50〜80%は辞めてしまうといわれています。
厚生労働省の「新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)」によると、就職後3年以内の離職率は高卒就職者で37.0%、大卒就職者で32.3%です。
ネイリストの離職率は1年で50%を超えているので、相当高いことがわかります。
その離職率の高さが、ネイリストは早死するほどブラックな環境だというイメージをつけてしまっているのかもしれません。
ネイリストの離職率が高い理由
ネイリストの離職率が高い理由は、主に以下のとおりです。
給与面だけでなく、人間関係や職場環境などの理由もあります。
給料が低い
ネイリストの給料は、他の職業と比べて低い傾向です。
求人ボックスによると、正社員のネイリストの給料は月収30万円程度(年収360万円程度)というデータがあります。
一方、日本の平均年収は、国税庁のデータによると461万円なので、ネイリストの年収は平均より100万円ほど低いのです。
特に新卒や初心者でネイリストになったばかりだと、月収は20万円程度が相場となっています。
技術を磨き続けても、年収が低くてなかなか上がらないことを知って、多くのネイリストが転職や独立を選ぶため離職率が高いのです。
体力的な負担が大きい
ネイリストは長時間同じ姿勢で座った状態で仕事を強いられるため、体力的な負担が大きい職業です。
また、土日祝日の出勤などがあって出勤日が不規則であったり、夜遅くまでの労働になったりする可能性もあります。
20代・30代など年齢が若ければ問題なくても、年齢を重ねるにつれてネイリストの仕事の負担についていけなくなり、離職を考える方が一定数います。
メンタル面の辛さがある
ネイリストの仕事はメンタル面の辛さもあり、離職を考える人が多くなる傾向です。
ネイルの高い技術力が求められるうえ、場合によってはお客様からのクレームや厳しい要求を受ける可能性があります。
そのプレッシャーから精神的なストレスが蓄積され、退職を決める人がいます。
サロンでの人間関係が複雑になりがち
サロンでの人間関係も、ネイリストが仕事を辞める一因となりがちです。
ネイルサロンはどうしても女性ばかりの環境になってしまうため、スタッフ間で派閥ができてたり、上司との関係性が悪化したりして働きづらくなることがあります。
結果、サロンに出勤すること自体がイヤになってきて、離職を考えるようになるのです。
時間外労働が起こりやすい
ネイリストは残業や勤務時間外の練習などが多くなりがちで、そのストレスから離職を考える人がいます。
人気のネイリストになるには、勤務時間外の練習を強いられる場合もあり、ライフワークバランスが崩れてしまいかねません。
時間外労働の多さが、ネイリストを離職する原因になることも往々にしてあります。
ネイリストとしてのリスク対策と健康維持の方法
ネイリストとしてできるリスク対策や健康維持の方法は、主に以下のとおりです。
早死しやすいとはいえないネイリストですが、特有の健康リスクがあったり、離職率が高かったりするのは事実です。
ネイルサロン側が対応してくれるのを待つのではなく、上記の方法を実践して自分で対策するようにしましょう。
安全で快適な作業環境を確保する
ネイリストとしての健康を維持するためには、安全で快適な作業環境の確保が不可欠です。
そのためには主に以下のような対策が必要になります。
- 換気設備を導入する
- 高性能なマスクや手袋を着用する
- イスにクッションを置く
ネイルアートに使用される化学物質は、揮発性の高いものが多く、適切な換気がないと健康リスクが高まります。
換気設備やイスなどはネイルサロンに最初から置かれているものを使うことになるので、高機能なものが置いてあるサロンを選べば、健康リスクは多少軽減できるでしょう。
労働時間を徹底的に管理する
ネイリストとして健康に長く働くためにも、労働時間の管理は重要なポイントです。
長時間労働や過労にならないように、適切な休息を確保できるようにシフト管理を行いましょう。
また、勤務時間中に休憩が取れないというルールや雰囲気だとしても、休憩時間は法律で決まっているので、勇気を持って休むようにしましょう。
Q 休憩時間は法律で決まっていますか? A 労働基準法第34条で、労働時間が6時間を超え、8時間以下の場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は、少なくとも1時間の休憩を与えなければならない、と定めています。 |
サロンにとっても、無理に働かれて倒れてしまっては損が大きいはずです。
自分もサロンに勤務時間や勤務日を調整してもらえるよう交渉しつつ、健康的で長く働ける環境を作りましょう。
自分ならではのストレス管理やメンタルケアの方法を確立する
ネイリストとして健康的に活動していくためにも、自分ならではのストレス管理やメンタルケアの方法を確立しましょう。
ネイリストをやっていると、仕事で体力的にも精神的にもストレスが溜まることがあるでしょう。
そのストレスは誰かが解消してくれるわけではないので、自分で解消の術を持っておくのは大切です。
例えば、ヨガや瞑想などのリラクゼーション方法を取り入れたり、趣味の時間を定期的に確保したりなどが挙げられます。
また、ネイルサロンの福利厚生でカウンセリングやリフレッシュ休暇などがあったら、積極的に利用しましょう。
自分でストレス解消やメンタルケアができれば、長く健康にネイリストとして活動できます。
ネイリストは早死するとは限らないが対策は必要
ネイリストが早死するという統計は存在しませんが、職業上の健康リスクがないとはいえません。
ネイルサロンで働く際に適切な対策を講じることで、健康リスクを大幅に軽減できます。
とはいえ、サロンの方針で労働環境がなかなか変えられない場合もあるでしょう。
自分で上司に相談するのも大事ですが、それも難しそうであれば無理せず独立・開業を検討したり、別サロンや別職種などへの転職を検討するべきです。